第8回 香港ビジネス懇話会
『中国市場に挑戦する日本のキャラクタービジネス』
開催日:2007年12月12日(水曜日)所属名:国際協力委員会
場所:HSBC
日本香港協会では、去る12月12日に、2007年度最後の香港ビジネス懇話会を開催しました。今回の懇話会では、株式会社ナムコ 取締役経営企画本部長の猪野修平氏を講師に迎えて、"中国市場に挑戦する日本のキャラクタービジネス“という題目で、中国市場におけるコンテンツ・キャラクタービジネスの最新動向と問題点、今後の可能性と課題についてお話を頂きました。
私もモデレーターという立場で進行役を勤めさせていただきました。今回の懇話会はテーマがタイムリーで話題性もあったことから、会場が満席になるほどの大変盛会でした。猪野氏はバンダイで日本国内の玩具事業とりわけキャラクタービジネスに長くかかわってきました。 数年前には、上海で中国ビジネスの現場のトップとして陣頭指揮を執り、その後、ナムコの役員として再び中国におけるアーケードゲームに関ってきました。こうした経験を通じて、中国の業界や市場の裏も表も、良さも悪さも熟知されている講師の話は、現場にいなければ分からない真に迫る、大変興味深い話が満載でした。
玩具業界がターゲットとする18歳未満の人口が、中国では3.7億人います。この未開拓の巨大な市場を考えれば、今後、最も力を入れたい国であるわけです。しかしながら、中国には、独自の国策があり、文化としてのアニメには政府の干渉や規制が入りますから、日本のビジネスモデルやマーケティング手法がそのまま踏襲できない問題もあります。中国では、一人っ子政策を背景に、子供の教育には大変熱心で、子供がテレビを見る時間は日本の子供達と違って、極めて制限されています。また、中国人の所得が増えたとは言え、一般家庭にとって高価な玩具はまだまだ手が届きません。猪野氏からは、こうした中国の特殊性や、その中で、市場を開拓していく苦労話がいろいろと紹介されました。
中国のコピー商品の問題では、バンダイがキャラクター商品を発売する前どころか、今では、デザインする前に、中国ではいち早くコピー商品が作られる。従って、もはやコピーとはいえない商品が登場するといったところまで進んでいる。バンダイが逆に商品化のアイディアを頂いたこともある、と言うエピソードの紹介には、思わず笑われた方もおられたと思います。
中国ビジネスで、猪野氏が強調したキーワードは「現地化」でした。企画開発から生産、販売にいたるまで中国の発想を取り入れて進める必要がありそうです。バンダイの資料によれば、中国の玩具市場は、まだ1,500億円程度ですが、近い将来倍々に伸びる可能性は充分ありそうです。
講演終了後の名刺交換会では、玩具業界のみならず、アニメ業界や、中国ビジネスを展開中の方々など幅広い分野の方々との交流を行うことができました。
(日本香港協会理事 野島威)