第14回 香港ビジネス懇話会 『香港の最新IT事情』

中国と日本・欧米のIT産業の架け橋としての香港の役割

開催日:2009年7月15日(水)15:00〜17:00
所属名:ビジネス交流委員会
場 所:HSBC

日本香港協会(東京)では7月15日HSBCビル大会議室に於いて、第14回香港ビジネス懇話会を開催しました。

今回はゼウスパックキャピタル 日本代表 安川昌昭氏に『香港の最新IT事情』―中国と日本・欧米のIT産業の架け橋としての香港の役割と 題し、セイコーエプソン勤務時代から関わったITソリューション事業を香港赴任以降、既存組織に依存することなく新たに人脈つくりから手をつけて本格的に立ち上げ、現在もIT関連事業のみならず広範囲な活動をされている同氏に、香港コンピューター学会活動や広州・珠海などのパールリバー地域でのIT交流活動、香港のIT事業での強みなど今後香港、中国、東南アジアなどでIT活動を志す人に大変参考となる貴重なお話を披露していただきました。

安川氏の略歴:
1959年長野県生まれ。1983年東京大学(工)卒。同年セイコーエプソン㈱入社。1993年米国ミシガン大学にてMBA取得後、同社でのITソリューション事業立ち上げを推進。2003年から2007年エプソン香港に赴任、アジア地域でのソリューション事業を展開。2007年帰国後エプソン社を退社、2008年ゼウスパックキャピタルの日本事務所を立ち上げ。現在中国、ロシアにてもIT関連事業、森林・バイオディーゼル事業を推進中。


講演では以下が説明されました。

(1)香港赴任前まではごく普通のエンジニアで、特にITに詳しいわけではなかったが、出張ベースでたびたび香港に行って、すっかり香港にはまってしまった。

(2)香港着任後、これまでのハードウエアからソリューションビジネスに軸足をシフトした。日本では飛び込みでやってもダメだと思うが、香港地下鉄(MTR)のIT部門トップに接触したところ会長まで繋いでくれて、鋭意プレゼンをしたところ即断即決で決定してくれ売り込みに成功した。香港人は初めての人でも快く受け入れるように心が大きく、この事がその後の展開の大きな後押しとなった。

(3)次に、日本人としては唯一であったが香港コンピューター学会(Hong Kong Computer Society=HKCS)に参画した。この学会は1970年に設立され、その歴史、規模、参加メンバー、活動範囲など香港最大のもので、技術的に難解なものより実用的な研究に重きをおいてユーザー、ベンダー、アカデミーの分野を網羅して、香港から上海、北京、など中国本土や東南アジア各国の学会との提携へも手を広げている。
この学会に参加することで、多くの香港・中国人脈とのつながり、情報入手などの足がかりができたが、日本企業の参加が芳しくないのが残念で、今年度も学会行事が多数あるので是非ご参加いただきたい。

(4)中国との結びつきを示す実例として、国(州、省)をまたがって交流を図り、ITを使って経済・産業の発展を目指す目的で、2006年に香港、広州、珠海、深圳などパールリバー・デルタ地域のIT交流を図るために珠海に設立された交流センター HK−PRD IT Coo−poration & Exchange Centre の活動状況の説明があった。
その中で香港政府が“Digital 21 strategy”計画を戦略的に推進するなど積極的に支援しており、日本では支援対象が大企業に限られているが、香港では民間が自由に参加でき、どんな会社でも提案すればやらせてもらえる、援助を受けられる機会が与えられるという「香港の強み」が披露された。

(5)最後に、日本代表として現在参画されているカナダに本拠を置くゼウスパック キャピタル社の中国、ロシアなどに多角的、広範囲に展開しているグループ会社の事業案内と活動状況の解説があった。

今回、出席者の皆さんから香港の学会への具体的な参加方法など様々な質問が寄せられ、また安川氏は普段は長野県諏訪市を拠点として活動されているが、たびたび東京へもこられる由で、今後ともよろしくとのこともあり大勢の方々が名刺交換を行いました。

挨拶をする戝前理事長

会場風景

安川昌昭氏(1)

安川昌昭氏(2)

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