第17回 香港ビジネス懇話会
『中小企業・ベンチャー企業の香港活用法』
『中小企業・ベンチャー企業の香港活用法』
開催日:2010年1月27日(水)15:00−17:00
所属名:ビジネス交流委員会
場 所:千代田区内幸町 (財)フォーリン・プレスセンター
日本香港協会(東京)では1月27日フォーリン・プレスセンターに於いて、年明け初めての第17回香港ビジネス懇話会を開催しました。
今回は店舗・流通・メーカーなどで抱えている余剰在庫を購入希望者との間でマッチングさせ、在庫の流動化を促進するシステム・インフラを創造し業界の活性化を図る(B to B、B to C)事業を立ち上げ、香港、中国華南地域にも展開しているマッチングワールド株式会社取締役管理統括部長 外園将一郎氏を講師にお迎えして、中小企業・ベンチャー企業が国際都市香港をいかに活用したらよいかなどを経験談なども交えお話していただきました。
<外園(ほかぞの)将一郎氏の略歴>
1967年福岡県生まれ。外資系メーカーの経理業務に7年間携わり、その後アパレルメーカー、電子部品商社、インターネットポータル企業でIPO業務等に従事。2007年10月マッチングワールド㈱に入社、同11月取締役管理統括部長に就任、2008年10月同社香港支店設立を担当し現在に至る。
■講演では以下が説明されました。
1.在庫を抱え苦労している企業(売り手)は在庫で資金が寝て苦しみ、処分しようとすると在庫の叩き売りをしてる、あるいは経営が苦しいのではないかという風評を恐れるあまり実際には相当値引きしないと売れないことが多く、一方、購入希望者も売り手が信用できる先か、商品は信頼できるものなのかといった不安を持っていて手が出せず、売買がマッチせずに在庫商品はバーゲンセール → アウトレット → 社員販売などを経て値段を下げ続けた後、商品ブランド名が表に出ないよう最終的には焼却処分されるものも多かった。
2.売り手に流通在庫の効率的販売と資金化の実現を、買い手には割安な商品調達や豊富な品揃えが実現するようにマッチングワールドが“M-マッチング・システム”を使ったWEBサービスで仲介にしている。この仕組みの特徴として
(1)匿名性のある取引:
マッチングワールドが在庫売買の当事者として表に立つので
売り手/買い手ともに社名を公開する必要がない
(2)検品を含めたロジックシステム:
匿名取引だからこそある不良品が出荷される不安を取り除くために
マッチングワールドが全て検品して発送
(3)ネットのみならず電話、FAX、面談など広い受付窓口:
システムに不慣れな顧客にも対応可能にしている
3.企業規模を考え、むやみに手を広げることは抑え、ゲーム関連商品を柱にペット用品・ゴルフ用品などの商品に取り扱いを絞っているが、国内では買い手の頭打ちが見えてきたことから2006年海外事業を開始、2008年に日本製ゲームの海外からの買い付け需要が激増したので香港支店を設立した。
2008年決算では売り上げの44%が海外、うち99・9%が香港経由した中国沿岸部向けとなっている。
4.香港の持っている強みはソフトインフラが優れている点など出席の皆さんは良くご存と思うが、香港支店を基点として、日本の余剰在庫商品の成長著しい中国などアジア圏への販売を主軸に、各国で在庫となっている商品の各国間での相互マッチング(Global Matching)を構築し為替変動リスクを回避しながら、システムの多言語化、マルチカレンシー化など収益基盤の強化、成長戦略mを図っている。
最後にTDC 伊東次長にも参加願い、活発な質疑応答が行われた。
Q:マッチングさせる取り扱い対象在庫品は何でもやるのか?
A:広範囲に何でもやってみたいと思っているが、資金的な問題もあり、現在はゲーム関連、ペット用品、ゴルフ用品など限定的に取り扱っている。将来はアパレルや製品以外の医療材料、工作材料などもやってみたい。
Q:御社は香港でのIPO(上場)はやらないのか?
A:非常に興味があり検討したこともあるが、IR活動を英語・中国語でやるのが現状では困難で実現していない。
Q:マッチングという仕組みでは顧客情報管理が重要と思われる。日本ではしっかりやられていると思うが、香港ではどのように行っているか?
A:日本での情報管理の厳格なマネージメントを香港にもそのまま適用している。
さらに香港は狭いところで、ダンボールの箱の色からでも顧客情報が漏れるといったこともある。こういった香港の風土なども研究する必要もあり、取引拡大に備え支店の情報管理要員強化も必要になってくる。