<第20回 記念シンポジウム>

『10年後、香港・中国はどう変化するか』

開催日:2010年11月19日(金)
所属名:ビジネス交流委員会
場 所:中央区日本橋 HSBC大会議室

日本香港協会で長らく開催している「香港ビジネス懇話会」も今回で第20回目を迎えました。この記念すべき今回の懇話会は従来の講演会とは形式を変えて「10年後、香港・中国はどう変化するか」というテーマで、香港、中国、日本などを舞台に幅広く第一線でご活躍中のお三方をお迎えしてパネル・ディスカッション形式のシンポジウムとして開催しました。
  
1.パネラーの皆様のプロフィール
荻野正明氏<香港>フェニックス・グループ・ホールディング代表  
1964年神戸外国語大卒。1970年香港で独立、フェニックスを設立させ日本向
ニットの最大手となる。1992年自社ブランドのANTEPRIMAを立ち上げ、世界で
80店舗を展開中。1996年には高級食品と生活関連商品を扱う大規模小売店(シティスーパー)も立ち上げ香港、台湾で7店舗展開、本年上海にも中国での一号店をオープン。現在、フェニックス・グループ・ホールディング代表として傘下各社を統括している。 

田中 稔氏<香港>サウス・オーシャン・グループ(南洋針織集団)本部長
1976年早稲田大学卒。三菱商事、ジャスコ、トミーヒルフィガージャパンなどを経て、2009年香港企業でセーター製造・輸出専業の最大手の南洋針織集団に入社。現在、日本向商品本部の総責任者として活躍中。

松田宇充氏 HSBC投信株式会社代表取締役社長
1977年一橋大学卒。東京銀行に入行後、1989年東銀リース香港現地法人社長に就任。1992年香港上海銀行本店日系法人部長に就任、同行大阪支店長、東京支店事業法人本部長、HSBC証券会社役員を経て、2003年に現在のHSBC投信㈱に異動、同年9月に社長に就任。 

【コーディネーター】
財前 宏氏 日本香港協会全国連合会会長
1957年早稲田大学卒。元三菱商事副社長。ニューヨーク、ロンドン、香港、北京と20数年を三極で過ごし、欧米での長い経験と香港企業との付き合いから中国ビジネスをクールに見ている。 

2.意見交換された論点:  
10年後の変化を単刀直入に見通すことは難しいので、まず現在香港・中国で問題と
なっている事柄をとりあげた。

・労働者の賃上げ、ストライキが起こっているが労働問題の現状はどうか。
・反日デモ発生の背景は。
・人口問題
・不動産バブルの現状とバブルを引き起こしている原因はなにか。 
・地方政府のプロジェクト投資が急増している。不採算プロジェクトへの投資で不良債権化し国家的な規模の信用不安・金融パニックが起こる不安はないか。
・環境問題、食品汚染・工場爆発・鉱山事故などの安全問題は解決されるのか。
・経済成長はいつまで続くか。

さらに10年先を見据えて、
・高齢化する人口問題や貧富の差の拡大、インド経済の躍進などに触れながら中国
経済の将来を展望。
・中国通貨、元の自由化は10年以内に実現するか。
・香港は今後どのような方向に向かうのか。香港の金融機能、香港ドルの将来は。   
以上のような数多くの観点から活発な意見が飛び交い、熱気のあるパネル・ディスカッションとなった。パネラーの皆さんは現在、現場で直接実務に携わっておられる方々であるので、日本のマスコミ情報以外の興味深い情報など生の声を聞くことができ、また皆さんのそれぞれ活躍されているフィールド違いからテーマによっては見解が異なる見方をされた部分もあり、パネル・ディスカッションらしい討議がなされ、出席者からも大変有意義だったとの声が多く寄せられた。  

 

 

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