第24回 香港ビジネス懇話会
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第24回 香港ビジネス懇話会『当社の海外展開と香港での活動事例』
講 師:オタフクソース株式会社(本社:広島市) 国際事業部長 宮田裕也氏
開催日: 2011年9月13日(火)
所属名:ビジネス交流委員会
場所:千代田区内幸町 「フォーリン・プレス・センター」
水に溶いた小麦粉の生地に野菜、肉、エビ・イカ、ソバなどをのせ鉄板の上で焼き上げ、独特のお好みソースをかけまわして食べるお好み焼きは「関西風お好み焼き」と「広島風お好み焼き」が特に代表的であるが、この「広島風お好み焼き」には欠かせることのできないオタフクソースの国内・海外展開に尽力されている同社、国際事業部長 宮田 裕也氏に、お客様お満足や食品の安全・安心を追及する企業理念やお多福グループソース販売の柱となっているお好み焼きの「社内お好み焼き士」制度や「お好み焼き教室」などを通した普及活動や地域交流・貢献などの社会活動、国際化の強化などをお話しいただきました。
宮田裕也氏のプロフィール:
1969年広島県生まれ、駒澤大学(文)卒。1993年オタフクソース株式会社入社、関西地区営業担当として神戸営業所を振り出しに、大阪フードサービスグループ・リーダー、本社営業本部等で全国外食チェーン、量販店デリカ部門を主に担当し、2009年国際事業部部長に就任。
■講演の要旨
1.広島県は日本酒の産地で、昔から酢の醸造も盛んであった。大正11(1922)年創業者佐々木 清氏が広島市に酒、醤油の卸小売りをする「佐々木商店」を創業。昭和13年に「お多福酢」のブランドで醸造酒の製造を開始したが、昭和20年原爆投下によりすべて焼失。
昭和25年ソースの製造販売を開始、昭和27年新製品「お好み焼き用」ソースを初めて発売した。
その後、焼きそば用、たこ焼き用など多種のソースを売り出したがソース製造では最後発だった。小麦粉、天かす、海苔、マヨネーズなど多くの食材も扱っているが、最初、広島の屋台に売り込みを図り、ここでのお好み焼きとの出会いによってソースづくりにおける一本の道が開けた。それ以来、多くの人々に支えられてお好み焼きと共に歩んできた。
お好み焼きに取り組み、お好み焼きを広め、お好み焼きにまつわるすべてがオタフクソースが社会から任された使命だと認識している。
2.現在、家庭用と業務用の販売比率は半々であるが、他社はいずれかの商品に特化しており、オタフクは両方の商品を扱っているのが特色である。家庭用商品の比率が増加しつつあり、売り上げはキャベツの値段に影響されるという面白い傾向がある。NHKの朝ドラ「てっぱん」の放映や、東日本大震災の影響で家庭で食事をとる機会が増えたことが追い風になったようだ。
3.社内で商品販売先のセグメントとして①(内食)スーパー・百貨店内のレストラン向け②(中食)スーパーの惣菜・デリカ売り場や持ち帰り弁当店向け③(外食)お好み焼き店、居酒屋、ファーストフード、ファミレス向け④(特販)冷凍食品・即席めんメーカー向けと区分しているが現在、約1,500品目と多岐にわたった商品を扱っている。
4.市場のトレンド、情報をつかみ、業務用から最終的に家庭用商品に展開していく商品開発の流れが重要である。そのために“食”のトレンドの享受や、調理のプロによる指導・評価を大切にする。
さらに開発部隊の要求も取り入れた商品レベルの向上に努め、会社の「深化、進化の源」とすることを目指し、海外進出にあたっても同様に現地の味覚・食トレンドの享受や現地調理人の思考と調理環境の仕組みを把握するようにしている。具体的には現場の声をいかに取り入れるかを重視して工場見学のみならず試食会などを行い、“食べてもらうシーンをどれだけ創り出すか”が肝要であると考えている。
売上という結果を求める以外に、そのプロセスの行動に明確な指針を示し共有することが大切だ。
5.海外向けの売上高比率は2〜3%とまだ低い。北米がトップであるが中身は照り焼き、かば焼き、焼き鳥用のたれや寿司店向けの酢などで、従来シェアの低い台湾などの中華圏、東南アジアが伸びている。
6.香港はこれから力を入れていかなければならないが、イオンやそごうなどで社員が出向き実演販売を行っているも、韓国、台湾に比べお好み焼き店が少なく、まだまだなじみがないせいか拡販に苦心しているのが実情である。
講演最後の質疑応答では野菜、デーツ、香辛料などの食材原料の調達はどうなっているかとか関西風と広島風のお好み焼きの違いは?といった質問や、関東ではまだまだ広島風お好み焼きの認知度が低い、子供たちを通しての普及を図った方がいいなど、活発な質疑応答が行われました。