第36回 香港ビジネス懇話会

第36回「香港ビジネス懇話会」報告

日 時:2014年5月21日18:00〜20:00
場 所:学士会館(千代田区神田錦町)
講 師:(株)サン インターナショナルビジネス
    代表取締役社長 佐久間 祐二氏

【講師プロフィール】
1961年ヤオハングループ入社。国内各地の店長を経験したのち、1974年シンガポール赴任。その後、シンガポールヤオハン社副社長、香港ヤオハンデパート社社長(台湾ヤオハン社社長兼務)、ヤオハン・インターナショナル・ホールディング社副社長、ロンドンヤオハン社社長等を歴任。ヤオハングループにて通算18年の海外勤務。
2001年に独立し、(株)サンインターナショナルビジネスを創立。『頼まれたらNOと言わない』精神で、13年間に外食、化粧品、和菓子、店舗デザイン、不動産、アクセサリー、広告宣伝等、多数の中小企業を香港、その他の国に進出させ成功に導く。“香港で成功したら大陸に出ろ”が持論。香港、台湾、シンガポールなどの華僑との深い人脈を持つ。

【講演概要】
<講師の現状>
・39年間ヤオハングループに勤務したが、人生は何が起こるかわからない。
・独立してから13年になるが、その間、香港、シンガポール、台湾等へ32社の海外進出を支援した。
・中国への進出も相談は多いが、いろいろと問題が多いので当分はやりたくない。中国進出の場合は、香港か台湾経由をお勧めしている。
・最近は、日本企業からシンガポールやアセアン地域への進出の問い合わせが増えている。

<香港情報>
・香港の家賃については別紙資料のとおりで、現在世界一となっている。
・最近は家賃の高騰により、事務所や店舗の郊外への移動が多くなっている。
・日本からは飲食店の進出が急増している。
・小売業の売上では中国人訪問客による購買が1/3を超えている。
・中国本土からの訪問者は、2013年に5,400万人の実績、14年は6,000万人、2023年には1億人を超えると予想されている。
・所得の増加に伴い、香港最大のスーパーマーケットチェーンであるPark’n ShopもGreatという名前で高級スーパーを展開している。
<日本企業の動向>
・登録上は企業が2,100社強、駐在員は23,000人余となっているが、実際には40,000人以上滞在していると思われる。
・流通ではイオングループの活躍が顕著である。同社は1985年に香港進出、現在は中国南部へも店舗網を拡大し、合計約50店舗、HK$65億の売上規模になっている。
・日本人実業家である荻野氏のフェニックスグループは、シティスーパーやアンテプリマの成功で売上が700億円と言われている。
・石井さんという若手の日本人が日本食専門商社を開業し、鮮魚や青果の高級食材の販売で大成功している。
・1984年に進出したエーワンベーカリ―は地元密着で成功し、現在ベーカリー40店舗、レストラン20店舗を運営している。
・金沢の質屋である中古のブランド品ショップ「ブランドオフ」が出店し、現在8店舗を展開。オークションも開始しており、中国、シンガポール、タイにも進出予定である。
・飲食では、マキシムグループに入った元気寿司(40店舗)が高級店として「千両」を展開した。
・味千ラーメンは世界売上1兆円を目指して、年間100店舗の出店を計画している。

<香港の最新情報>
・日本からカクテルバーが進出している。
・日本のパチンコ屋が、日本におけるカジノの早期解禁を予測して、マカオのカジノに出資している。
・日本の競走馬が5頭、香港のジョッキークラブに販売された。
・来客を家庭に招待する人たちの間で、ファッションとして、「響」や「山崎」等の日本のウイスキーの人気が高まっている。
・吉本興業では中国語のわかるお笑い芸人の養成を始めた。
・日本のデザイン会社(設計・施工)や通信販売業者(日本の名産品)が、日系相手ではなく香港企業や香港人をターゲットとした業務に進出している。
・老舗のすし屋「見城」は今や高級店として、香港人のエリートから圧倒的な支持を得ており、日本人が予約を取るのも難しくなっている。
<香港の優位性>
・立地の良さ。世界人口の半分を占めるアジアの主要都市がほとんど4、5時間圏内。
・中国の珠江デルタ地域と一体化して発展。
・低い法人税や所得税等、有利な税制。
・規模が小さく、クリーンな政府組織。
・充実したインフラと自由度の高いビジネス環境。
・オープンな為替管理やフェアな金融制度。
・英語が通用し、専門性の高い人材の存在。
・治安が良く駐在員にとって快適な生活環境。

<シンガポール情報>
・カジノのオープン以来、ホテルが取りにくい。価格も高騰している。
・アセアン地域の高額所得層から支持され高島屋が絶好調。利益も大幅に増加しており、ホーチミンにも建築中。
・老舗の伊勢丹は7店舗を展開しているが、それほど規模が大きくないため、現在大型店用の立地を探している。
・飲食業で成功している多田羅氏が7階建ての本社ビルを開設。同社はさまざまな業態の飲食店54店舗を展開しており、売上200億円。3年前にモスクワにすし屋を出店し、東南アジアで日本食の惣菜やキャンティーンの運営を計画しており、500億円に売り上げを目指している。
・竹中、鹿島など日本のゼネコンの人気が現地では高まっている。

<結論>
・香港やアセアンは急激に変化している。今後の海外進出に当たっては、既成概念を捨てることが重要である。
・グローバルな時代においては、もはや国境がなくなっている。
・安全や信頼性といった日本のブランド価値が各地域で高まっている。



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